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「漢院」中国語学校を諦めるべきか?

   

漢院は、2004年、上海旧フランス租界の花園洋房(庭付きの洋館)を校舎とし、華やかに、そして夢とロマンに満ちて開校した。

この学校は上海在住の外国人ビジネスマンを対象として、中国語と中国文化を、あたかもコーヒーを楽しむようにリラックスして学ぶ、というコンセプトである。当時私は29歳、二度目の起業であった。

この18年間、漢院は決して順調ではなかった。私は幾度となく、もうやめるべきではないか?と考えたことがある。今年に入ってから、内外の諸要因によって、この問いはより現実的で切迫したものとなった。

外的要因は次の3つである。

一、3年に及ぶコロナ対策で、外国人や外国企業の上海離れが急速に進んだ。

二、家賃と人件費の急騰。上海の家賃と人件費はすでに東京を超え、18年前の10倍にもなったが、外国人ビジネスマンの収入は大きくは変わっていないため、コストの上昇を価格に反映できない。

三、賃貸契約の更新交渉が失敗に帰し、18年にわたり使用して来た校舎から出ていかざるを得なかった。

内的要因としては以下が挙げられる。

一、スタッフのパワー、モチベーションの低下。マンツーマンを中心とした語学教育では、採算ぎりぎりの状態を維持するのがやっとで、将来性が描けず、精神的にも疲弊した状態が長く続き、達成感を得られない。

二、グループ内部において、経営への貢献度が低いために、経営幹部は大きなプレッシャーにさらされ、漢院の事業は社長の個人的な気まぐれだと見られている。

今年の賃貸契約更新交渉が失敗した時点で、もはや廃業は已むなし、との流れに一気に傾き、私も如何ともし難い、と無力を感じた。

この18年で、私は多くの教育事業を創出し、成功も収めた。中には経営上の判断で、途中でやめた事業もいくつかあったが、漢院のような葛藤はなかった。

それでも、もう一度初心に立ち戻ろう、と私は思う。

そもそも18年前に漢院を設立した趣旨は、上海在住の外国人が活きた中国語を身につけ、中国での生活と文化を楽しみ、充実した毎日を送れるようサポートすることだった。

現在の上海は厳しい国際環境に置かれており、外国人の上海離れが進んでいる。しかし、上海に残ることを選択する外国人も居て、中国語教育のニーズは依然として高い。多くの中国語学校が相次いで廃業を余儀なくされている昨今、漢院は、逆により貴重な存在となっている。

語学は相互交流のためのツールである。語学学習を通じて、外国人の仕事や充実した生活をサポートすることが、最終目的である。だからこそ私たちは、語学教育以外での学生同士の交流活動を積極的に広げていかなくてはならない。

漢院は、経営的には儲かるビジネスモデルでは決してないことを認める。その上で、私は漢院をNPO(非営利団体)と位置付けて再出発させたい。

18年の歳月を経て、私は47歳になった。事業全体も大きくなり、安定した収益を確保できている今、私は、漢院の中国語教育を、上海国際化に対する企業の社会貢献として存続させることを決意する。

 

漢院校長 孫源源

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